第41回 全国豊かな海づくり大会 兵庫大会 ~御食国ひょうご~

豊かな海とは?

みんなで考えよう、栄養の循環

兵庫県は、北は日本海、南は瀬戸内海と南北を海に囲まれており、それぞれの海の特性に応じた漁業が営まれてきました。そして、四季折々に水揚げされる様々な魚介類によって、私たちは古くから海の恩恵を受けてきました。 しかし近年、瀬戸内海では、毎年数万トンの水揚げがあったイカナゴの漁獲量が千トンを下回り、ノリの色落ちも毎年のように発生するなど、かつての海の豊かさに陰りが見られます。

瀬戸内は温暖な気候で降水量が少なく、内湾性に富み浅海が多いのが特徴です。多くの河川が流れ込み、海の生態系維持に必要な栄養分が陸から供給され、それらが水深の浅い海中で混ざり合うことによって、瀬戸内海ではこれまで豊富な水産資源が育まれてきました。

海の豊かさには、私たちの日々の暮らしが大きく関わっています。海から水揚げされた魚介類は私たちの食料となり、人々の排泄物はかつて田畑の肥やしとして利用されていました。この栄養を含んだ土が、降雨により河川を通じて海に戻ることで、海の豊かさを永く支えてきました。

また、河川は、陸から土砂を運び、沿岸域には干潟や浅場、藻場ができました。そこは魚のすみかとなり、干潟や海底では、プランクトンや生物の死がいが微生物によって分解され、栄養に戻ります。

このように、瀬戸内海の豊かさは、陸と海との栄養の循環が大きく関係しているのです。古来より、私たちの暮らしがその循環に上手く関わってきましたが、戦後の高度経済成長期を経て、その関わり方に変化が生じました。

今、瀬戸内海は、栄養塩(※)のレベルが低下する「貧栄養化」という新たな問題に直面し、古来より受け継いできた海の豊かさが失われようとしています。しかし、これからを担う私たちが、陸と海とのバランスのとれた栄養の循環に再び関わることで、豊かな海を未来に繋ぐことができると考えています。

ここでは、瀬戸内海の移り変わりや現状、豊かで美しい海を再生するための様々な取組を紹介します。「豊かな海」について、皆さんと共に考えていきたいのです。

※栄養塩・・・窒素、りんなど植物の生長に不可欠な無機塩類のこと。私たちの家庭から出た下水や工場からの排水にも含まれています。海では、植物プランクトンや海藻に利用され、生物の多様性や生産力を支えています。多すぎると赤潮の原因に、少なすぎると海藻類が育たなくなる磯焼け、養殖ノリの色落ち、水産資源の減少などの問題が発生します。